沿岸砂泥性藻場であるアマモ場は水質の悪化、埋立工事などにより消滅し、藻場面積も減少している。これまで、アマモ場は漁民からも水産上無用なものとされ、その衰退について注意を喚起されることはなかった。しかし、近年アマモ場の調査結果から、藻場内には多種多様な幼稚仔魚が生息していることが明らかになり、水産上の有用性が漁民にもわかり、その回復や拡大が望まれるようになった。
アマモ場は光合成により有機物を生産する沿岸域最大の一次生産者であるとともに、藻場自体が沿岸動物の生息場、保育場として生態学的にも水産学的にも重要な地位を占めている。また、光合成によるCO2の吸収・固定能力が高いことから、地球環境問題における温暖化防止の面からも注目されている。
このような視点でアマモ場を回復、拡大するため、種々のアマモ場造成法が提案されているが、大規模なアマモ場を造成するためには播種による方法が適している。そして、種々の播種法による実海域試験が行われている。
実海域試験に際して最も問題となるのは、アマモ種子を必要数量確保できるかどうかである。アマモ種子が確保できず、試験を断念または延期する事態も生じており、新しい藻場造成法に関する研究開発を円滑に行い、進捗させるためにはアマモ種子の確保が重要である。
そこで、研究開発および新たな藻場造成のための種子を融通し、藻場造成法の研究開発促進および新たな藻場造成に資することができればと、「アマモ種子バンク」構想を提案する。
沿岸域環境の保全および新たな創造のために、アマモ場造成に関する技術の研究と開発並びに関連する環境保全活動を行い、その普及活動を通じて地域社会の発展と環境の調和を図るとともに、地球環境問題に関する国際協力活動を行い、人類の持続的発展に貢献することを目的とする。
(1)環境の保全を図る活動
(2)国際協力の活動
(3)子どもの健全育成を図る活動
(4)前各号の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
(1)アマモ種子の採取および保存事業
(2)アマモ場造成に係わる調査、研究、開発事業
(3)アマモ場造成に係わる調査、研究の助成および支援事業
(4)アマモ場造成の普及および啓蒙事業
@研究会、講演会の開催
A地域関係団体等に対する調査および研究成果の広報活動
B青少年の地域環境保全に関する体験学習への指導助言
(5)国内外の環境関係諸団体との交流および事業協力
(6)アマモ場造成に係わる国、地方公共団体および民間からの受託事業
(7)その他関連する環境保全活動
最終更新日 : 平成24年6月26日