国土交通省は平成25,26年度の2ヵ年で、加古川河口部の浚渫土砂25万㎥の処分地として明石市・魚住沖合の海域を選び、浮泥が堆積している海底(水深-7.5m〜-6.5m)に覆砂し、面積450m×450m、天端高-5.0mの浅場を造成した。
そして、魚住沖合海域に共同漁業権を持つ江井ヶ島、林崎、明石浦の3漁協で構成する3漁協連絡会は、漁場整備として“海のゆりかご”といわれるアマモ場を新たに造成された浅場上に再生することが出来るかどうかを検討するため、造成された浅場に自生アマモ株の移植およびアマモ播種シート敷設による播種を行なった。
そこで、浅場上でのアマモ場再生事業が継続して行われるとして、新たに造成されたアマモ場と魚住に隣接した江井ヶ島海岸で20年以上安定したアマモ場で生態系に関わる生物調査(小型地曳網による比較的大形の遊泳生物調査、アマモ場の葉上・付着生物調査、底生生物調査)をアマモ場の造成状況(藻場面積、生育密度)に合わせて行い、安定したアマモ場と新たに造成されたアマモ場での調査結果から二つのアマモ場の類似度を比較検討し、新たに造成したアマモ場での生態的機能の回復・創生過程を検討することにした。
浅場の造成位置
【平成26年度】
江井ヶ島漁協より新たに造成された魚住沖浅場でアマモ場造成の可能性調査を依頼され、8月に神戸市立須磨海浜水族園の協力を得て、現地調査を行った。その結果、可能性はあると判断し、11月にはアマモ栄養株の移植およびアマモ播種シートによる播種を行った。そして、翌年3月に追跡調査を行ったが、残念ながらアマモ場造成区域を特定できなかった。
【平成27年度】
昨年度移植したアマモ栄養株およびアマモ播種シートの追跡調査を再度6月に行い、播種シートについては舞い上がり防止の金網やシート固定のU字筋の金物も確認できなかったが、移植栄養株の生残は確認できた。
これより、大成建設自然・歴史環境基金より平成26年度助成(H26.11〜H27.11)を受け、アマモ場の葉上・付着生物調査のための採捕網を製作し、7月、10月の2回、江井ヶ島海岸の自生アマモ場と魚住沖浅場上のアマモ場造成区でアマモ場の葉上・付着生物および底生生物調査を行った。
また、11月にはアマモ栄養株の移植によるアマモ場造成を行った。
【平成28年度】
兵庫県が平成28年度より新たに始めた「地域団体等による藻場・干潟の再生・創出支援事業」の一つに採択され、本事業を継続して行った。
実施内容は平成27年度と同じで、8月、2月の2回、アマモの生育調査を行うとともに、江井ヶ島海岸の自生アマモ場と魚住沖浅場上のアマモ場造成区でアマモ場の葉上・付着生物および底生生物調査を行った。
また、12月にはアマモ栄養株の移植によるアマモ場造成を行った。
【平成29年度】
兵庫県の「地域団体等による藻場・干潟の再生・創出支援事業」として昨年度に引き続き採択され、本事業を継続して行った。
【平成30年度】
兵庫県の「地域団体等による藻場・干潟の再生・創出支援事業」として3年目になるが、本事業を継続して行った。
最終更新日 : 2019年5月14日